少し怖い感じがして、ミステリアスで不気味なカラス…

「カラスの死骸が見当たらない」

「カラスの寿命は120年」

という話を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか?

「あまり考えたことがなかったけど、カラスは何歳まで生きるんだろう!?」

と気になっている人のために、カラスの寿命を調べました。

なぜカラスの死骸が落ちていないのか、も判明しましたよ!

目次

カラスの寿命はどれくらい?

飼育下では最長60歳

カラス 寿命 飼育

ロンドンで飼われていたワタリガラスが60歳まで生きた例があります!(杉田昭栄著 「カラスのひみつ」より)

120歳まではいかないけど、人間と同じくらい長生きですね!

また、ハシボソガラスも飼育された状態で、40歳まで生きた例があるそうです。

※ハシボソガラスは、畑や河川敷などで、日常的に見かけることが多いカラスです。ワタリガラスは冬だけ日本にやってくる渡り鳥で、北海道でしか見かけることがないカラスです。詳しくは別記事をご覧ください。

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野生では20歳ほど

カラス 寿命 野生

一般的に、「野生」の鳥類の寿命は、飼育されている状態の半分くらいと言われています。

確かに、野生でヨボヨボのおじいちゃんカラスになったらエサを取りに行けないし、天敵などに襲われて早く死んでしまいそうですよね・・・

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飼われていたら、ヨボヨボになってもあたたかい寝床とエサを与えてもらえるので長生きします。

先ほど紹介したように、飼育下で「40歳、60歳まで生きた例」があるので、野生では半分の「20歳、30歳」くらいまでは生きる可能性があるということです。

実際に、野生で20歳まで生きた例も知られています。

寿命は性成熟の10倍の年数

また、カラスに限らず、動物の寿命は性成熟までにかかる時間の10倍程度とされています。

(性成熟とは、生殖可能な状態まで成長すること。)

カラスの場合、性成熟まで2年はかかるので、2年×10=20年が寿命と考えられます。

やはり、野生だと20歳が寿命みたいですね。

その他のデータも合わせると…

また、環境省のホームページにもカラスの寿命について以下の記載がありました。

“日本のカラスについては「飼育されて20年生きた例がありますが、自然条件では8、9年も生存すればよいほうである」という記述(由井正敏、阿部禎・他 1992)があります。また、黒田長久博士は羽の色に特徴のあるハシブトガラスを少なくとも14年間、野外で観察しています(講演より)。これらを総合すると、たいへん幅の広い言い方をすれば10~20年程度といったところでしょう。”

まとめると…

カラス 寿命

つまり、ここまでの内容を総合すると、ざっくりとしたカラスの寿命は…

  1. 野生で10~20年
  2. 飼育下で20~40年

ということです。

つまり、都市伝説の「カラスの寿命は120年」はウソでした!

一番長く生きたカラスでも、飼育で60歳まででした。

街中でカラスの年齢を見分ける方法は?

「いつも家の前にいるカラスは何歳なんだろう?」と思っても、実はカラスの年齢を見分けるのはかなり困難です。

2歳までのカラスの口の中は、淡いピンク色ですが、2歳以上になると、喉の奥まで黒くなります。

この差が、カラスの年齢を判断する唯一の材料なんです。

2歳以上になると日常の観察からカラスの年齢を判断する方法は残念ながらありません。

カラスの寿命を調べたデータが少ない理由も、ここにあります。

カラスの死骸を見ないけど…

「街中にはあんなにカラスがあふれているのに、死骸をまったく見ないのは何でだろう」と疑問に思う人も多いでしょう。

カラスの寿命が10~20年なら、カラスの死骸を見かける機会がもっと多いのでは?と思いますよね。

街でカラスの死骸が見当たらないのは、カラスの死骸は「ねぐら」にあるからです。

カラス 寿命 死骸 ねぐら

カラスは昼間、エサを探して街中に現れますが、夕方になると集団で人通りのあまり無い森林や公園、神社などの「ねぐら」に集まります。

実際に、ねぐらに行けばカラスの死骸は地面に転がっています。

街中で死ぬと人に片付けられてしまうため、見る機会があまりないでしょう。

カラスの強い生命力

「カラスの寿命が120年」という都市伝説が広まった理由には、「カラスは生命力が強い」と感じている人が多いこともあるでしょう。

実際に、カラスの繁殖力のとても強い動物です。

その理由は3つあります。

1.エサにこだわりがない

カラス 寿命 雑食性

多くの動物は食べられるものの範囲が狭く、その食べ物が存在する場所でしかふつうは生活できません。

例えば、絶滅したトキは、田んぼのドジョウなどを食べますが、農業の近代化によってドジョウが少なくなり、滅んでしまいました。

でも、カラスは雑食性でどんなものでも平気で食べます。ドジョウがいなくてもニワトリの卵を食べればいい。ニワトリがいなくなれば、果物や木の実を食べればいい。これが雑食の強さです。

つまり、カラスはトキのような運命をたどる心配はまったくなく、エサさえあればどんどん増え続けられます。

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2.賢い

カラスは学習能力・記憶能力が高いです。

そのため、人のそばに住めば山奥よりエサが豊富だということを学習し、人のそばで生きています。

例えば、畑を耕すトラクターの後を付いていけば、掘り起こされた土の中に昆虫の幼虫やネズミがいることを学習しているので、トラクターの後ろにはカラスが行列を作ります。

カラス寿命 賢さ

また、エサの入っているケースとエサが入っていないケースを与えた実験では、数日後にはエサの入っているケースだけをつつくようになったそうです。つまり、エサが入っているケースの色を記憶していたのです。

このようにエサの場所、危険な場所を記憶して生き抜いているのです。

3.どこでも巣作りできる

鳥は、一般的に敵から身を守るために条件のいい場所に巣を作ります。

その条件が崩れてしまい、適当な場所が見つからないと、繁殖そのものを放棄してしまいます。

でも、カラスは都会のビルの屋上の貯水槽の裏や、高圧線の鉄塔などどこにでも巣を作ります。

材料も木の枝がないと針金のハンガーなどなんでも使って巣を作るので、繁殖が途絶えません。

まとめ

カラスの寿命は、

  1. 野生で10~20年程度
  2. 飼育下で20~40年程度

「120年生きる」というウワサは嘘でしたね。意外と野生での寿命は短いようです。

ただ、珍しい例だと思いますが60歳まで生きたカラスもいました!

なんでも食べる!どこでも巣を作れる!エサの場所を覚えている!これが、カラスの強さの秘密です。