肝臓は「沈黙の臓器」といわれるほど、少々具合が悪くなっても自覚症状がほとんど現れません。
その為、健康診断などの血液検査で肝機能の異常を指摘されて、驚いた人も多いはず。
薬を飲むほどでなくても、日々の飲み物で少しでも改善したいですよね。
このページでは、東京医科歯科大学教授の藤田紘一郎 著「健康茶入門」や、
緑茶研究の第一人者である大森正司 著「からだにいいお茶のすべて」などを引用しつつ、
肝臓に良いお茶を4つ厳選してご紹介したいと思います。
ぜひ自分に合うものを選んでみてくださいね。
目次
そもそも肝臓って何?
肝臓は普段意識することがない臓器なので、意外と肝臓の働きを理解していない人も多いと思います。
肝臓に効果がるお茶を選ぶために、肝臓の基礎を知っておきましょう。
肝臓の主な3つの働き
肝臓は腹腔内最大の大きさの臓器で、分かっているだけでも500以上の働きがあります!
その中でも、最も重要な機能が3つあります。
- 食べ物として摂取した栄養素を利用しやすい形に作りかえる機能
- 胆汁(不要物質を排泄をする役割のある体液)を分泌する機能
- 体内に入ってきたアルコールや薬などの有害なものを分解して体外に排出する解毒機能
つまり、ざっくり言うと、主に悪いものを排泄・解毒する臓器です。
そのため、肝臓の機能が落ちると悪いものがたまって、むくみを起こしたり、黄疸が出たり、深刻な病気へと進んでいきます。
特に、アルコールをよく飲む人や、脂質を多く含むもの(油っぽいもの)をよく食べる人は、注意しましょう。
もっと詳しく肝臓の働きを知りたい人は、別記事「図解ですぐわかる!肝臓の病気の種類」の目次「肝臓の基礎知識」をご覧ください。肝臓のことを何も知らない人でもわかる様に説明しています。
肝臓へのお茶の効果
では、お茶などの飲み物で肝臓の機能を改善できるのでしょうか?
お茶にも薬効がある!
お茶とひとくちに言っても、緑茶など日常的に飲むお茶や、そば茶・ドクダミ茶・黒豆茶…など、たくさん種類があります。
これらのお茶は、どれも植物の葉や根、果実、根、種を乾燥させたものを使っていて、漢方の生薬と同じように、薬効のある成分が含まれています。
後ろで紹介するお茶にも、古くから肝臓病の治療薬として使われてきたものもあります。
お茶といえども、薬ほどではありませんが薬効があるんですね。
肝臓に良いお茶の成分と作用
例えば、これから紹介するお茶には、以下の成分が含まれています。
- クルクミン:
胆汁の分泌を促進する作用
(胆汁の分泌は肝臓の大事な機能です) - セレン、タンニン、ベタイン:
血液浄化作用
(健康な血液を作り出すことで肝機能を活性化します) - ミネラル類:
利尿作用
これらの作用により、肝臓の働きが促進され、肝機能改善に効果があります。
それでは、どのお茶がこれらの作用があるのか紹介していきます。
肝臓に良いお茶4選
肝機能改善に効果のあるお茶はいくつかありますが、その中でも、特に肝臓に効果が高い、肝臓病に定評のあるお茶だけを4つ厳選して紹介します。
1.ウコン茶
クルクミンが胆汁の分泌を促進して肝臓の働きを活発に!
お酒を良く飲む人におすすめ
コンビニなどで売っている「ウコンの力」でおなじみのウコン。
ウコンはショウガの仲間で、インドなどの熱帯地で栽培されています。日本では、沖縄が産地です。
食用にするのは根の部分。根を乾燥して粉末状にしたものは、あざやかなオレンジ色をしていて、カレー粉やインド料理に使われます。
このように、食用としても親しまれていて、副作用の少ない安心して飲めるお茶です。
そのオレンジ色の色素成分の「クルクミン」には、利尿作用や胆汁分泌促進作用(つまり肝臓の解毒作用が強化される)があるので、肝臓の働きを強くする効果があります。
そのため、古くから肝臓病や胃腸病の薬として知られてきました。
ウコンには種類があり、花を咲かせる季節によって「春ウコン」と「秋ウコン」とがありますが、秋ウコンのほうがクルクミンの含有量が多いので、肝臓が気になる方は秋ウコンを選ぶといいでしょう。
肝臓病のほかに、がん予防や高血圧予防などさまざまな効果があります。
※ 秋ウコンはカレーに使うターメリックと同じものです。スパイスとして使用して摂取しても良いです。
おすすめ商品
オリヒロの徳用ウコン茶は、肝臓に効果の高い「秋ウコン」を使用している上に安いのでおすすめです。
オリヒロ 徳用ウコン茶 60包 896円
含まれる成分と作用
※ 以下は、秋ウコン茶の成分と作用です。
- クルクミン
(胆汁の分泌を促進、利尿作用、抗酸化作用) - シネオール
(胃液の分泌活動を刺激する作用、殺菌作用、胆汁の排出を促進する作用) - カンファー
(心臓を刺激して活性化する作用、胃液の分泌活動を刺激する作用、殺菌作用)
何に効果がある?
※ 以下は、秋ウコン茶の効果です
- がん予防
(クルクミンと精油成分の抗酸化作用の働きにより、がん細胞を抑制します) - 肝機能強化
(クルクミンが胆汁の分泌を促進して、肝臓の働きを活発にします) - 二日酔い予防
(胆汁の分泌が活発になり、アルコール分解酵素の働きを促進する) - 動脈硬化予防
(食物繊維がコレステロールを吸着するので、動脈硬化を予防する) - 便秘改善
(食物繊維とミネラルの働きにより、腸の運動が活発になり、便秘が改善します)
飲みやすさ
→こしょうに似たスパイシーな独特な苦味と香りがありますが、比較的飲み易いです。スッとしたマイルドな刺激がある。
飲みにくい場合は、蜂蜜など甘味料を入れると飲みやすくなります。
2.クコ茶
ペタインの作用で肝機能が向上!
別名「延命茶」とも呼ばれている
クコは、杏仁豆腐や薬膳料理に入っている赤い実でおなじみです。
漢方では、果実を乾燥したものを滋養強壮に使い、葉を解熱や下痢止めに使います。
お茶には葉を使います。
クコの葉に含まれる天然のアミノ酸「ベタイン」という成分が、余分な脂肪を取り除き血液を浄化するので、肝機能が活性化します。
また、肝臓への効果以外にも、ルチンという成分に毛細血管強化作用があるので高血圧の人にも効果的です。
その他にも、ビタミンB1、B2、C、Aなど体に良い栄養素がたくさん含まれています。
そのため、中国では古くから不老長寿の効果があると信じられ、スープやおかゆなどにクコの実を入れて、薬用として使われてきました。
別名「延命茶」と呼ばれ、毎日の健康維持に最適です。
おすすめ商品
この「クコ葉茶 60g」は、徳島県産のクコ葉を100%使用しているので安心です。横浜で明治から4代続くお茶専門の川本屋の商品です。
川本屋 クコ葉茶 60g (約20~30杯分) 1080円
含まれる成分と作用
- ベタイン
(血液浄化作用、肝機能活性作用) - ルチン
(血管強化作用) - ビタミンC
(免疫力向上作用、肝臓の解毒作用促進) - ゼアキサンチン
(血行促進作用) - アルカロイド
(疲労回復作用)
何に効果がある?
- 肝臓病予防
(ペタインが余分な脂肪を取り除いて、ビタミンCが肝臓の解毒作用を促進させます) - 高血圧予防
(ペタインが血行を促進し、ルチンが血管を丈夫にするので、高血圧を予防します) - 疲労回復
(アルカロイドが疲れている神経を興奮させるため、疲労回復の効果があります) - 老化防止
(ルチンが毛細血管を強化するので、老化防止の効果があります)
飲みやすさ
→おいしい甘みと、コクがあります。
3.オトギリソウ茶
セレンが肝機能改善に効果あり
ガンの発生を抑制する効果も確認されている
オトギリソウは日本各地に分布している草で、古くから止血剤としてすり傷など使われてきました。
オトギリソウ茶に含まれる「セレン」に、肝炎や肝硬変などの肝臓病改善に効果があります。
これは、セレンには発ガン抑制作用があり(アメリカ・チャンバーガー博士によるマウス実験)、タンニンには赤血球や白血球を増加させて健康な血液を作り出す効果があるためです。
実際に、1973年「中華医学雑誌」によると、オトギリソウの一種のヒメオトギリソウの生薬を急性肝炎の患者に注射したところ、96.8%に有効、そのうち89.7%には著しい効果があったと報告されています。
その他には、配糖体(ヒペリンシン)による抗うつ効果や、樹脂によるイライラの緩和など、ストレスにも効果があります。
おすすめ商品
オトギリソウ茶は薬局などで売っておらず入手しずらいですが、アマゾンや楽天で「国産オトギリソウ茶(30パック)」が買えます。
自然健康社 国産オトギリソウ茶 30パック 2916円
含まれる成分と作用
- セレン
(発ガン抑制作用、抗酸化作用) - タンニン
(赤血球や白血球の増加を促進、抗菌作用)
→→セレン、タンニンの働きにより、肝臓病改善に効果的。 - 配糖体(ヒペリンシン)
(抗うつ作用) - フラボノイド(ルチン、クエルセチン)
(血管補強作用) - 樹脂
(イライラの緩和、ストレスの改善)
何に効果がある?
- 肝炎改善
(セレン、タンニンの働きにより肝炎の改善効果があります) - がん予防
(セレンがガンの発生を抑制する効果があります) - 抗うつ効果
(ヒペリンシンにより、セロトニンの分泌を増やし神経を安定させます) - 脳卒中予防
(ルチン、クエルセチンの血管補強作用によって、脳卒中予防効果があります)
飲みやすさ
→薬草っぽい香りで少しクセがある。慣れれば飲みやすい。
4.スギナ茶
肝機能のほか、糖尿病、高血圧、胆石、腎炎など効能が多いお茶
スギナはツクシが成長したもので、日本全国で見られます。根以外の草の部分を乾燥させてスギナ茶を作ります。
カリウム、マグネシウム、カルシウムなどミネラルが豊富で、ナトリウムが少ないので利尿作用があり、その利尿作用により肝機能が改善します。
また、葉緑素という免疫力を強化する成分を含んでいて、最近では葉緑素がガンにも効果があると注目されています。
また、ケイ素は血中の酸素を補給して、濁った血液をサラサラにするので生活習慣病に効果的です。
このように、肝臓病予防、がん予防、糖尿病予防、胆石予防、膀胱炎予防、腎炎予防など効能が多いお茶です。
おすすめ商品
「徳島県産スギナ茶(40パック)」は、創業1925年の小川生薬が、国産にこだわって採取から自社で行っている商品なので安心です。
小川生薬 徳島県産スギナ茶 40パック 1512円
含まれる成分と作用
- サポニン
(抗ガン作用、抗酸化作用、コレステロール降下作用) - ケイ素
(血液浄化作用、コレステロール排出作用、カルシウムの吸収促進作用) - 葉緑素
(免疫力強化作用、抗ガン作用、殺菌作用、解毒作用、コレステロール降下作用) - カルシウム
(免疫機能補助、血液正常化作用)
何に効果がある?
- ガン予防
(サポニンの働きにより、がん細胞を抑制し、ガンを予防する) - 腎炎改善、膀胱炎改善
(葉緑素の働きにより、有毒物質を排出して炎症を抑えます) - 糖尿病予防
(葉緑素が血糖値を下げて、ケイ素が濁った血液を浄化するので、糖尿病予防になります) - 骨粗しょう症予防
(カルシウムは吸収されやすいペクチン酸カルシウムなので、ケイ素の働きによってさらに吸収力が高められ、骨を丈夫にして骨粗しょう症を予防します)
飲みやすさ
→くせがなく飲み易い。
その他の肝臓に良いお茶
ここで紹介した4つのお茶以外にも肝臓に良いとされるお茶はあります。
でも、メインの効能が肝臓病ではなく、肝臓病がサブの効能(たとえば高血圧改善がメインのお茶)だったりしたので、上のまとめからは除外しましたが、下記にまとめたのでご参考に。
ドラッグストアなどで見かけたりしたらこちらを買ってみてもいいかもしれませんね。
- アスナロ茶
- アマチャヅル茶
- ハスの葉茶
- 杜仲茶
- 菊花茶
- そば茶
- マテ茶
- メグスリの木茶
- 霊芝茶
- アケビ茶
肝臓に良いハーブティーもある
このページでは、主に日本や中国が原産の植物を使ったお茶を紹介しました。
同じお茶でも、ヨーロッパなど西洋が原産の植物を使ったお茶は、「ハーブティー」と呼ぶことが多いです。
そんなハーブティーにも、
- ミルクシスル
- アーティチョーク
- ダンデリオン
など、古くから肝臓の治療薬として使われてきたお茶があります。
こちらのページで詳しく紹介しているので参考にしてください↓
>> 「肝臓に良いハーブティー厳選4選」
まとめ
肝臓に良いお茶
今回調べていて、特に上3つのお茶(ウコン茶、クコ茶、オトギリソウ茶)が肝機能改善に効果があるように感じました。
ただ、オトギリソウ茶は薬局などで売っておらず入手しずらいです。(ネット通販にはあります)
オトギリソウ茶以外の3つは、いくつか薬局を回れば見つかると思います。
プレゼントなび