男性更年期障害で困っているけど、薬の治療をするほどでもないし、病院にもなかなか行きずらいですよね。

でも、「漢方薬なら体への負担が少なくて良さそう」と気になっている人が多いでしょう。

このページでは、

◆男性更年期障害に漢方薬は効く?

◆そもそも漢方って何?

◆どの漢方が男性更年期に効く?

◆漢方の体への負担は?

といった疑問に対して、医学書の情報を引用しつつ、詳しく解説していきます。

目次

そもそも漢方薬とは?


普段病院で処方される西洋薬は、人工的に合成された「化学物質」です。

一方で、漢方薬は植物の根や実や種子を乾燥させた「生薬」を組み合わせて作られます。

↓漢方薬はこのようにいくつかの「生薬」を組み合わせて作られています。

男性更年期障害 漢方薬 生薬

4000年という長い年月をかけて、効果は最大限に出るように、毒性や副作用は最小限に抑えるような絶妙な割合で生薬が配合されています。

男性更年期障害に漢方は効く?

男性更年期障害とは?

これまで更年期障害は女性特有とされてきました。

でも、中高年の男性も同じように「検査ではとくに異常がないけど、なんとなく調子が悪い」という症状に悩まされることがあります。

男性更年期障害は、「こうだ」と医学的に言い切れるほどのデータが揃っておらず、医学的に確立された概念ではありませんが、近年、社会的に注目されています。

男性更年期障害の原因は、女性と同じで、ホルモン分泌の減少です。

女性の閉経による変化ほど急激ではありませんが、男性も加齢とともにホルモン分泌が低下します。

男性ホルモンには・・・、

  1. 男性性器の機能を維持する
  2. ストレスに抵抗する

といった働きがあります。

そのため、加齢によってホルモン分泌が低下したところに過剰なストレスが加わると、更年期障害が起こりやすくなると考えられています。

特に、性格的にストレスをためこみがちな人は発症しやすいと言われます。

男性更年期への漢方の効果

このあと紹介する漢方薬には…、

  1. 不安やイライラを鎮める
  2. 滋養強壮作用
  3. 生殖の働きを活性化する
  4. 怒りっぽさや筋肉の緊張を鎮める
  5. 体を温める
  6. 血行を良くする
  7. 胃腸の働きを良くする
  8. 気分を落ち着かせる
  9. のぼせを鎮める

などの複合的な効果があり、男性更年期障害に効きます。

更年期障害は漢方の得意分野

漢方にも得意分野と不得意な分野があります。

たとえば、手術が必要だったり、抗生物質が必要な病気、緊急性が高い病気などは不得意です。

それに対して漢方が最も得意なのは、「検査ではとくに異常がないけど、なんとなく調子が悪い」という症状です。

その得意分野の代表例が、冷え性と更年期障害です。

漢方は体への負担が少ない?

普段病院で処方される西洋薬は、単一成分で作られているので、1つの不調にしか効きません。

たとえば、「痛みには痛み止め」、「吐き気には吐き気止め」といった1対1の治療になりがちです。

つまり、症状が10個あれば10個薬が必要です。

一方で、漢方薬は、冒頭で説明したように複数の生薬の組み合わせで作られていて、さらに個々の生薬にもさまざまな成分が含まれているので、複合的な効果があります。

つまり、さまざまな症状を同時に抱える男性更年期障害でも、1,2種類の漢方薬で十分に対応でき、体への負担が少ないです。

効果が出るまでの期間

漢方での男性更年期障害の改善にかかる時間については、まだ十分なデータが揃っていないのが現状です。

ただ、以下の内容が参考になると思います。

風邪や痛みなどに使われる「取り除く働き」をする漢方薬は、即効性があり、早いものでは10分程度で効果が出ます。
(例: 芍薬甘草湯という漢方薬は、月経痛やこむらがえりなどに10分程度で効く)

一方、体質改善に使われる「補う働き」をする漢方薬は、ゆっくり効果が現れます。たとえば体質からくるニキビ治療などは2~4週間の漢方服用でなんらかの効果がでます。

つまり、男性更年期障害は、すぐに効果は出ませんが、漢方薬が合っていれば1ヶ月以内になんらかの効果が期待できます。

男性更年期障害に効く漢方薬6選


それでは、男性更年期障害に効く漢方薬を紹介します。

ひとくちに男性更年期障害といっても、症状によって選ぶものが変わります。下記を参考に選んでみてください。

後ろでそれぞれの漢方薬についてさらに詳しく説明しているので、そちらに進んでください。

性欲の減退がある人は

性欲の減退がある人は、以下のどれか1つを選んで飲みます。

  1. 八味地黄丸
  2. 牛車腎気丸
  3. 六味丸

基本は「八味地黄丸」ですが、さらに症状が顕著な人や、その症状に加えてむくみがある人は「牛車腎気丸」がを選びます。

また、八味地黄丸 の症状と同じでも、冷えがなくほてりがある人は「六味丸」を選びます。

気力・活力が低下している人は

心身の活力が低下した状態で、気力がない、疲れが取れない、などの症状がある人は、

  1. 補中益気湯

が合います。

NHKきょうの健康の2016年8月9日の放送でも、「補中益気湯」が男性更年期障害で使われる代表的な漢方薬として紹介され、だるさ、気力がない、疲れやすいなどの症状に有効と紹介されました。

体力がない人の精神不安には

不安、イライラ、ストレスなどの精神不安の症状がある人は、

  1. 桂枝加竜骨牡蛎湯

が合います。体力がない人に向きます。

体力がある人の精神不安には

体格がよく体力がある人で、不安、気分が落ち込む、イライラなど、精神的に不安定な症状がある人は、

  1. 柴胡加竜骨牡蛎湯

が合います。

それでは、それぞれの漢方薬の効果や選び方、飲み方などを詳しく説明していきます。

1.八味地黄丸

(はちみじおうがん)
「八味丸」と呼ぶこともあります。

男性更年期障害 漢方 八味地黄丸

△ クラシエ 八味地黄丸 30日分 2,600円

◆性欲の減退がある男性更年期障害の基本の漢方。

◆冷え、しびれがある人にも良い。

どんな漢方?

「八味地黄丸」は、勃起不全に使う代表的な漢方薬です。

また、高齢者に使う代表的な漢方薬でもあり、冷え性で体力がない虚弱な人に向きます。

体力がある人、暑がりの人には使いません。

下半身の弱った状態を治す薬で、老人や虚弱者で、食欲はあって胃腸が悪くなければ万能に使えます。若い人でも「八味地黄丸」を使うケースが増えています。

「八味地黄丸」は、冷えにともなう痛みを取る「附子剤」のひとつで、体を温める作用があるので、男性更年期障害の症状である冷えやしびれに効きます。

男性更年期障害の以下の症状に使います。

 ・下半身の脱力感、性欲の減退などの生殖機能の衰え
 ・気力・精力の減退
 ・冷え、しびれ

男性更年期障害のほかには、

 ・頻尿・夜間頻尿
 ・排尿困難
 ・前立腺肥大症
 ・腰痛
 ・坐骨神経痛
 ・かすみ目

など主に下半身の弱った状態に使う「へそから下の薬」です。

副作用や注意点

体力がある人、暑がりで赤ら顔の人には使いません。配合されている生薬の「附子」の副作用として、のぼせや動悸、舌のしびれなどに注意が必要です。胃腸が虚弱な人には向きません。

市販の八味地黄丸には「附子」が入っていないものもあるので、効果がない時は、附子剤(アコニンサン錠・ストローバル錠・炮附末)を補いますが、クラシエやツムラなど有名どころはほとんど附子が入っています。

2.牛車腎気丸

(ごしゃじんきがん)

男性更年期障害 漢方 牛車腎気丸

△ クラシエ 牛車腎気丸 30日分 3,888円

◆上記の「八味地黄丸」の症状がより強く顕著な人は「牛車腎気丸」を。

◆むくみの症状がある人は、「八味地黄丸」より「牛車腎気丸」が良い。

どんな漢方?

「八味地黄丸」に、「午膝」と「車前子」という生薬を加えて、作用を強力にしたものが「牛車腎気丸」です。

なので、「八味地黄丸」で効果が不十分な時に使います。

「八味地黄丸」と同じ症状でも特に、

 ・勃起不全が強い
 ・むくみ(特に足)が強い
 ・小便の出が悪い
 ・腰の痛みが激しい

という場合は、「牛車腎気丸」を使います。八味地黄丸と同じで体力がない人に向きます。

また、「牛車腎気丸」は西洋医学的な臨床試験によって、下記の効果が確認されていて、西洋医学でも認められた薬の一つです。

 ・高齢者の頻尿(特に夜間頻尿)
 ・腰痛や足の痛み
 ・老人性皮膚掻痒症(皮膚のかゆみ)
 ・糖尿病の合併症の神経障害によるしびれ

副作用や注意点

体力のある人、暑がりの人には向きません。配合されている生薬の「附子」の副作用として、のぼせや動悸、舌のしびれなどに注意が必要です。

3.六味丸

(ろくみがん)
「六味地黄丸」と呼ぶこともあります。

男性更年期障害 漢方 六味丸

△ クラシエ 六味丸 15日分 1,998円

◆上記の「八味地黄丸」の症状とほぼ同じでも、手足のほてりがある男性更年期障害は「六味丸」を使う。

どんな漢方?

「八味地黄丸」から、「附子」と「桂枝」という生薬を抜いて、子供用にしたのが「六味丸」です。

子供のおねしょによく使いますが、子供に限らず使います。

「八味地黄丸」と同じく、

 ・勃起障害
 ・気力・精力の減退
 ・しびれ

といった男性更年期障害の症状に効果的です。

冷えがある場合は「八味地黄丸」が良く、手足のほてりがある人は「六味丸」を選ぶといいでしょう。

副作用や注意点

特になし

4.補中益気湯

(ほちゅうえっきとう)

男性更年期障害 漢方 補中益気湯

△ ツムラ 補中益気湯 12日分 2,430円

◆活力・気力がない、疲れが取れない、などの男性更年期の症状がある人に◎。

どんな漢方?

元気を補う漢方薬の代表格で、気力・元気・エネルギーが不足したさまざまな症状に広く使われます。

滋養強壮作用のある「人参」、胃腸の働きを良くする「生姜」や「陳皮」、血行をよくする「当帰」、水分代謝をよくする「朮」、といった生薬がいっしょに働いて効果を発揮します。

胃腸の消化・吸収機能を整えて活力を生み出します。

男性更年期障害の症状として、

 ・疲れが取れない
 ・気力がわかない
 ・食欲がない

など「心身の活力が低下している人」に使います。

男性更年期障害のほかには、

 ・かぜ
 ・夏バテ
 ・虚弱体質の改善
 ・産後の体力回復
 ・術後の回復
 ・胃腸虚弱

など、脈もおなかの力も弱く、全身倦怠感や食欲不振などをともなうさまざまな不調に使えます。

虚弱で元気がない人に向きます。

副作用や注意点

特になし

5.桂枝加竜骨牡蛎湯

(けいしかりゅうこつぼれいとう)

男性更年期障害 漢方 桂枝加竜骨牡蛎湯

△ ツムラ 桂枝加竜骨牡蛎湯 12日分 1,440円

◆精神不安がある男性更年期障害に使う。

◆体力がない人に合う。のぼせがある男性更年期にも◎。

どんな漢方?

神経が過敏になることで起こる不眠、イライラ、不安、のぼせ、動悸、息切れなどに効く漢方薬です。

ストレスなど精神的な不安が引き起こす、男性の性欲減退にも使います。

この漢方は、子供の夜泣きやおねしょにも使う漢方なので安心して飲めます。

体力がなく、神経質な人に向く漢方です。

男性更年期障害の症状として、

 ・不安、イライラ、ストレスなどの精神不安の症状がある
 ・元から体力がないタイプ

の人に向きます。

また、のぼせの症状がある男性更年期にも向きます。

気分を落ち着かせる「竜骨」と「牡蛎」、穏やかな発汗作用でのぼせを鎮める「桂皮」、滋養強壮作用や精神安定作用のある「大棗」、血行をよくする「芍薬」、体を温める「生姜」、といった生薬が配合されています。

これらの生薬がいっしょにはたらいて、精神の高ぶりを鎮め、不安を取り除いて気力をつけ、不安定な精神を落ち着かせます。

副作用や注意点

特になし

6.柴胡加竜骨牡蛎湯

(さいこかりゅうこつぼれいとう)

男性更年期障害 漢方 柴胡加竜骨牡蛎湯

△ ツムラ 柴胡加竜骨牡蛎湯 12日分 2,053円

◆精神的に不安定な状態の男性更年期障害に使う。

◆体力がある人に合う。

どんな漢方?

比較的体格がよく体力があるけど、見かけによらず神経質で、ささいなことが気になる、気分が落ち込む、不安、イライラ、不眠などがある精神的に不安定な状態の男性更年期障害に合います。

勃起障害にも使います。

男性更年期障害のほかには、

 ・神経症
 ・不眠症
 ・子供の夜泣き
 ・高血圧にともなう症状
 ・慢性腎臓病にともなう症状

などに使います。

気分を落ち着かせる「竜骨」と「牡蛎」、怒りっぽさや筋肉の緊張を鎮める「柴胡」、といった生薬が配合されています。これらがいっしょに働いて精神不安を改善します。

副作用や注意点

まれに間質性肺炎や肝機能障害、黄疸が起こる例があります。配合生薬に「大黄」が入っている場合と入っていない場合がありますが、入っている場合は下痢に注意します。

まとめ


性欲の減退には

八味地黄丸

※ 八味地黄丸 の症状と同じでも、さらに症状が顕著な人や、その症状に加えてむくみがある人は「牛車腎気丸」が合います
※ 八味地黄丸 の症状と同じでも、冷えがなくほてりがある人は「六味丸」が合います。

気力・活力・エネルギーが不足している人には

補中益気湯

体力がない人の精神不安には

桂枝加竜骨牡蛎湯

体力がある・体格が良い人の精神不安には

柴胡加竜骨牡蛎湯

おまけ:西洋薬と漢方薬は併用していい?

基本的には、西洋薬と漢方薬は併用して問題ないです。

ただ、気になるとすれば、反対の効果をもつ西洋薬と漢方薬を併用すると、効果を相殺 してしまいます。

例えば、この2つを併用すると、効果が相殺されて飲む意味がありません。

 ・熱を下げる 西洋薬
 ・体温を上げる 漢方薬

これは、自分で判断するのは難しいので病院で確認しましょう。

もし、併用する場合は、少し時間を空けて飲むと安心です。

例えば、食前に漢方薬を飲んで、食後に西洋薬を飲むと良いでしょう。

※インターフェロン製剤を使用中の人は併用してはいけない漢方薬があります。

おまけ:男性更年期障害チェックリスト

次の10項目のうち3つ以上あてはまる場合、あるいは1か2がある場合は男性更年期障害が疑われます。

  1. 性欲の低下がある
  2. 性機能(勃起力)が弱くなった
  3. 身長が低くなった
  4. 夕食後にうたた寝することがある
  5. 元気がなくなってきた
  6. 「日々の楽しみ」が少なくなったと感じる
  7. 体力または持続力の低下がある
  8. もの悲しい気分、怒りっぽい
  9. 最近、仕事の能力が低下したと感じている
  10. 最近、運動する能力が低下したと感じている

ある報告によれば、主に多い症状としては、抑うつや不安などの精神症状が約5割、そして男性ではこれまであまり問題とされなかったほてり、冷え、発汗などの身体症状が約3割と言われています。

加えて、全体の約6割がED(勃起障害)や性欲低下の問題を抱えていると報告されています。